病棟の看護師を束ねる立場にあるのが看護婦長です。最近では看護師長、看護係長、看護長などと呼ばれるようになってきました。この看護師長の仕事は、本来はスタッフナースが行うべき想定外の業務を担うこともあります。例えば最近問題になっているモンスターペイシェントと呼ばれる患者の対応をしたり、急な人員不足の現場にまわされたり、いわば看護の何でも屋でもあるのです。

しかし海外の看護師の仕事を例にみてみると、業務が細かく明文化されており、看護師長だからといってなんでもかんでも引き受けなくてはならない、ということはありません。しかし日本の場合は明文化されている組織のほうが少ないため、なんでも看護師長に仕事が回ってきてしまうことが多いのです。ただですら人員不足が続いている看護業界なので、どうしても看護師長の仕事は増えてしまいます。それを見ている後輩たちの多くが看護師長にはなりたくないと考えてしまい、その年相応になると離職してしまう看護師もいるのです。

こうしたことから、何でも屋的な看護師長の仕事をしっかりとマネジメントだけに徹しようという動きも増えています。欧米ではほとんどの看護師長に人、物、金、についてのガバナンスがあり、マネジメントのプロとして能力が問われるのです。一見責任は重くなりますが、その分決定権は自分で担えるし仕事もやりがいがある組織を組めるはずです。こうした看護師長への取り組みはまだ行われたばかりですが、看護師長になることのメリットを明確にするためにも広がっていくことが望まれます。